2021.10.11 掲載
ハリネズミのもんちゃん(@_littlewoods さん)は、おそらくハリネズミふらつき症候群(Wobbly Hedgehog Syndrome:WHS)という病気とのことで、闘病生活を送っておりました。しかし残念ながら、5歳になる2週間前に、お空へ旅立たれたとのこと…。
当時のもんちゃんの様子をツイッターにまとめてくださいましたので、その内容を参考にさせていただき、下記にご紹介させていただきます。
2020年11月
もんちゃんが、昨年2020年11月頭から左前足側に転ぶのを何度か見ていましたが、加齢かなと思い、この時はあまり気にされていなかったとのこと。
2021年1月末
その後、これまで3歳と8ヶ月頃まで偏食のなかったもんちゃんですが、急に食が細くなったことを心配し、日本ハリネズミ協会にもご相談を受け、フードサービスなどをご利用いただいておりました。
同時に、もんちゃんの転倒が目立ってきたことも心配され、病院に相談し、2021年1月末からお薬「神経の炎症を抑える薬」を飲み始めました。
★1月末から2週間ほどお薬を飲んで少し良くなった気がしたので、獣医さんと相談してお薬をやめましたが、半月ほどでまたひどくなってきたので、2月末から再び薬をあげています。
病院で処方された栄養食に加え、以前からあげていたフードも食べてくれるようになったそうですが、その際に病院からWHSの疑いがあると診断を受けられたとのことでした。
2021年2月~3月中旬頃
2月にはゆっくりヨタヨタしながら滑車を3周くらい回す程度になりました。転んで落ちそうになり危ないので低めに設置し直したりしましたが、3月半ばからは乗らなくなったので撤去しました。その後、3月中旬頃は、数歩歩いては倒れ、そのまま休憩してまた立ち上がって歩く、という感じになりました。
2021年4月頃
4月4日に目からの出血があり、そのあとから食が細くなってしまいました。ハニーワームや、うずらミンチなどをtubedietと混ぜたものは食べてくれましたが、4月21日にまったく食べられなくなり、4月23日にお空へ旅立ちました。
1年と少し闘病しておりましたが、5歳になる少し前の2週間前までがんばってくれました。
【活動性について】
2021年2月には、ゆっくりヨタヨタしながら滑車を3周くらい回す程度になりました。転んで落ちそうになり危ないので低めに設置し直したりしましたが、3月半ばからは乗らなくなったので撤去しました。
【食事について】
昨年2020年12月末にフードを食べなくなりましたが、病院でもらった栄養食は食べたので、それにフードを混ぜ、少しずつフードの割合を増やしていき、その後、栄養食とフードを半々ずつ(フードは写真の量、栄養食は4g)、ペースト状にしてあげています。
(なお、もんちゃんの当時の体重は600gだったそうですが、体力を維持するために体重は維持した方がいいとのことでしたので、600g前後をにキープするようにしていました。)
食事中もよろけてしまい、ご飯の中に頭を突っ込んでしまうようになったので、ご飯のお皿を浅いものにしました。それでも心配になる程よろけるので、お皿を二重にして高さを出したら、以前よりもふらつかずに食べてくれています。自力で食べれるうちは、自力で食べさせてあげたいと考えていました。
【ケージレイアウトについて】
2021年3月中旬からは、数歩歩いては倒れ、そのまま休憩してまた立ち上がって歩く、という感じになり、気づくとひっくり返ってもがいていることもありました。そこで、1枚目の写真のように、通路を作って、倒れてもすぐに起き上がりやすいようにしました。支えがないと歩けなかったのが、歩いてくれるようになりました。
通路は、2枚目の写真のように、100円ショップの不織布仕切りケースに、同じく100円ショップで購入した小さい植木鉢を逆さまにして入れて、
あとはいらない布などを詰めて少し柔らかくしました。レイアウトなどを変えやすく、また、汚れも濡れたタオルなどで拭けば落ちるので、使いやすかったです。
参考になりましたら幸いです。
転ぶのにはじめて気づいた11月頭から、もうすぐ5ヶ月。当時はまだまだ食欲もあり、排泄もし、元気なもんちゃん。あと1ヶ月半ほどで4歳になるというところで、今回の経緯をまとめてくださいました。
しかし、残念ながらうちのもんちゃんは、5歳になる2週間前に亡くなってしまいました。心より、ご冥福をお祈りいたします。
こちらの記事を参考に、ひとりでも多くのハリネズミちゃんの参考になればと願っております。
ハリネズミふらつき症候群、別名WHS(Wobby Hedgehog Syndrome)とは神経の病気です。ふらつき症候群は、丸まれなくなるという初期症状から、後肢に力が入らず、ふらつくような様子がみられます。また、不全麻痺へと進行し、やがて四肢の麻痺が起こり、死へと至ります。ほとんどの場合、発症してから1年半〜2年ぐらいの間で死亡します。また、データとして
《症状》
・後肢に力が入らない
・立って歩くことが困難である
・食欲の減退および食餌が出来ない
・自力での排尿、排便が出来ない
《進行について》※参考文献によりますと、
・運動失調の開始から9ヶ月で症例の60%が、15ヶ月で90%が完全に動けなくなった
・症例の70%で麻痺は後肢から前肢へ上がっていった
《原因》
未だ特定されてはいないが、最近の研究ではビタミン不足によるものではないかと言われています。
その他に、栄養失調、カルシウム不足、細菌、ウイルス、中毒、外傷、遺伝、過度のストレスなどの複合要因によるものだとも考えられていますが、正確にはわからないのが現状です。
《治療》
原因が特定できていないので、これといった治療法は確立されていないのが実情です。
カルシウムやビタミンE、必須脂肪酸などを適量摂取することが病気の進行を遅らせることもあるようです。動物病院などではビタミンB系のサプリメントが処方される場合もあります。
日本ハリネズミ協会では、後ろ足の麻痺の改善事例として、ターメリックの食事療法を実施中です。
《対応》
身体のバランスが取りづらく、自分で立っていられない場合はタオルなどで支えを作って、ケージ内もなるべくバリアフリーにしてあげ、食事できるようにしてあげましょう。
また、上記のもんちゃんのように、歩きやすいようフラットな通路を作ってあげ、両サイドから支えてあげると、自力で移動もしやすくなります。
《要観察》
ふらつくからと言って、実はすぐにふらつき症候群と自分で判断するのは安易かもしれません。なぜならば、似たような症状が出るものとして、①低体温②低血糖③外傷④栄養不足⑤脊椎損傷⑥脳腫瘍⑦てんかんなどの場合が考えらるからです。これらの場合は、日頃からハリネズミちゃんと接することで、予防が出来たり、万が一発症しても早めに治療が出来るかと思いますので、ハリネズミちゃんをよく観察したり、定期的に健康診断を受けるなどして、お医者さんにも相談してみましょう。
【※参考文献】
Wobbly Hedgehog Syndrome in African Pygmy Hedgehogs (Atelerix spp.)